ロシア世界遺産9日間の旅
モスクワとサンクトペテルブルクを訪ねる
平成20年4月10日から9日間、ロシアを旅行しました。
ツアーは、定年後の夫婦8組16名です。
ロシア旅行の印象と併せてツアー同行者の人間模様を紹介します。
主な旅行日程
記憶に残った人間模様
印象のあった観光先と記憶に残った人間模様
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聖ワシリー寺院
モスクワの赤の広場に隣接して建っている。
屋根のネギ坊主は、ろうそくを意味している。
ろうそくは、神聖なもので天に近づくということを表しているらしい。
この教会は、イワン雷帝が、カザン汗を倒したのを記念して造ったものという。
イワン雷帝は、寺院の独特の構図、色彩に驚き、同じものを造られることがないようにと、造った建築家の目をくり抜いたといわれている。 |
物怖じしない妻
スーパでの 出来事。
モスクワで宿泊したホテルの近くにスーパがありました。
スーパで買い物の勘定をするためレジに並んでいました。
私より前に同じツアーの夫婦がかなりの量のチョコレートなど買うつもりでレジに並んでいました。
その夫婦の番になり、買い物金額がレジの女性から提示されました。
すると、手持ちの約1000ルーブルをはるかに超える2500ルーブルが請求されました。
これを知ると夫婦の妻は、日本語で「カードで払うわ」といってカードを提示しましたが、スーパ側は「カードは使えない」との意味をジェスチャーで回答。
しばらくの間、「手持ちの現金では足らない、カードで払いたい」 「カードは使えない」ということでやりとりしていました。
もっともこの間の会話は全てロシア語と日本語で…。
でも夫婦の彼女はそんなことお構いなして日本語でしゃべるまくる。
そして、「自分が泊まっているホテルに換金できるところがあるから、今から換金してくるわ」といって夫を残してサッサとその場を去りました。
この間、レジに並ぶ客の数は相当なもの。
残された夫は、カードを持ったまま残っていましたが、レジの女性はマネジャーを呼んできました。
マネージャは状況を把握したようで、カードの読み取り機を持ってきて、勘定は終了しました。
その後、妻は戻ってきました。
私は、ロシア語と日本語でやりとりしている様をズーッと見ていましたが、言葉は分からなくても意志はある程度通じることを実感しました。
そして何も英語でしゃべろうとしなくても何とかなることを…。
自分の持ち金を考えずに買い物をする人がいることにビックリ。
後で聞いたところ、換金したルーブルはまだ相当残っているものと思っていたとのことでした。
換金するために「換金してくるわ」といってサッサと行動する姿にもビックリ。
妻は、店側に買い物を止めたわけでないという意志を表すために旦那を人質に置いていったと後から説明してくれました。
でも、この妻は、快活で人柄がいいというのは、多分会話の通じないロシア人でも分かったと思います。
私は今まで、「いろいろ考えても行動に移さない慎重な人」は数多く見てきましたが、この妻のように「考える前に行動する人」はヒョッとすると初めてかも知れない。
確かに旅行中、これ以外に、旦那を見失ってしまう、飛行機の荷物重量制限をオーバーしてしまう、などのトラブルを起こします。
しかし、日本では相当幅広く仕事をしており、少なくとも私より上等の生活レベルらしい。
ということは、失敗を恐れずに、快活に活動しておれば世の中何とかなるものということを教えられた感じです。
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これって議事堂?
これは、議事堂でも美術館でもありません。
個人が居住するモスクワ市内にあるマンションです。
モスクワ市内は、戸建て住宅がありません。
プーチン大統領といえども、マンション生活。
国土の広いロシアでモスクワの住居は全て集合住宅というのは、寒い国での省エネ対策では?と推測します。 |
海外旅行は年4回?
今回一緒に旅行した人は、16人で8組の夫婦。
全員が定年後の年齢。
職業は正確さは別として、物怖じしない夫婦は会社経営。そのほかの人は元裁判官? 現在も嘱託で勤務中の樹脂加工技術の専門家で国家試験の先生、中小企業診断士等等
それでビックリしたのが、皆さんは私より頻繁に海外旅行に行っていること。
物怖じしない夫婦は、親が他界した3年前から3ヶ月毎に旅行をしており、先回はモロッコへ。
元裁判官は御年70歳代で、奥さんは足が悪く杖をつきながらの歩行、
それが、なんと次回6月頃にはスイスへ山登りに行く予定だとか
ついでに旦那の方の趣味はスカイダイビング、妻の趣味はアクアラング。
見かけからそんな恐ろしいスポーツが得意とは思えませんでした。(ご本人に失礼)
中小企業診断士の人は、今まで7回の旅行をしているが、なんとそのうち、4回は、ツアーでなく自分で計画して旅行。
ツアーでないため1回の旅行期間は長期であり、短くて2週間、長いと40日間海外に滞在するとか。
樹脂加工の先生も、次回は6月頃また出かけたいとか。
私も妻と一緒の海外旅行は、10回を超えますが、以前は年2回の割合で行ったこともありました。
しかし、近年は年1回でそれ以上行く気があまりしません。
海外旅行は、楽しいことは間違いないですが、疲れることもまた確か。
それと定年後の仕事もあり、そんなに頻繁に出かける気になりません。
本当に皆さんお元気です。頭が下がります。
赤の広場
クレムリンとレーニン廟
クレムリンは、赤の広場に隣接してあり、クレムリンの前にレーニン廟がある。
赤の広場は、意外と狭く端から端まで歩いて5分もかからない。
クレムリンとは、外敵に備えた城壁、城塞という意味で他の都市にもクレムリンがある。
レーニン廟は、ソ連の建国者レーニンの遺体が保存処理され今も廟の中にあるといわれています。
かっての共産国家の象徴的場所に、その敵対関係であった資本主義国から来た私には感慨の思いがします。 |
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ロシアの交通事情
ロシアの交通事情は、大変な状態。
それは汚れた車の氾濫による大渋滞
(まるで毎日が日本のお盆のよう)
一般道路に信号がないところがいたる所にある。
それが、片道4車線程度の広い道路でもしかり。
このため、交差点では、東西南北から車が入り込んでくる。
また、道路が4車線あっても、車線が引いてない。たとえあったとしてもそれが見えない。
そんな中、おのおのの車が、手慣れたもので左右の車間距離を、適当に開けて走っていく。
ところで、走っている車はどれも汚い。
どの車も洗車を一年以上行ったことがないのか、泥が一杯ついている
面白いのが、ライトバンの後部の車体に、車の番号などを書いて走っている車がある。
当然、泥で読めなくなる。 ところがその字の書いてある箇所だけ雑巾で拭き取って読めるようにしてある。
どうせ、車の一部でもきれいにするなら、全体を洗えといいたいところ。
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日本の道路と比べると雲泥の差があります。
私利私欲ならぬ党利党欲のかたまりである道路族の偉い先生方に一度お得意の視察にロシアへ行って頂きたい気持ちで一杯。ロシア道路事情を見たら、これ以上貴重なお金を道路に使うなどといえなくなると思います。
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世界遺産
ノボデビィッチ修道院
今回の旅行で各地の修道院を見学しました。修道院は男性と女性の修道院がそれぞれ別にあります。
修道院などに入るのに、他の国の見学と比べて格段にチェックが厳しい感じがします。
特に金銀でできた食器や装飾品などが展示してあるモスクワの「「武器庫」に入るのにボディチェックのみならず、手持ちのバッグの中までチェック。
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ロシアはやはり新興国?
先に記した交通事情で判断できるのは、やはり新興国という印象です。 これ以外に新興国と感じたことがあります。
それは、ロシアからの帰りに日航を利用しました。 日航に搭乗すると、日本女性の客室乗務員が笑顔で対応してくれます。
ロシアに行く時には、気にならなかったこの笑顔がすごく印象的でした。
なぜ、こんなに乗務員の笑顔が心に残るのかと考えました。
それは、ロシア滞在中、
スーパのレジ、ホテルのカウンター、
見学の入り口の受付など
あらゆるところで、無愛想な対応で接待されました。
それは、日本においてかなり昔、物を買うとき、役所で頼むとき、横柄な態度で対応を受けたことを思い出しました。
サービス面において今ロシアはまさに当時の日本の社会と同じレベルです。
ロシアの観光中よく軍人を見かけました。写真のベンチで座っている軍人は休日を過ごしているところです。
彼らは休みでも軍服を着て過ごすようです。
週日でバスから横を連隊を組んで歩いていく軍人を見かけました。
1998年のデータによるとロシアの兵力は116万人。日本の兵力が30万弱と比べるとなんと4倍近くになります。
軍人が目につくはずです。
他に市内のあちこち、これはモスクワのみならず、サンクストペテルブルクでも目につくのが、バザーという露天。
休日は大変な賑わい。
扱っているものは、衣類、室内飾り物等々で中国製、トルコ製でいわば安物ばかり。
これも日本の終戦10年位後に見られた光景を思い出されます。
スーパなどで見たロシアの物価は、例えばトマト100円、バナナ一房150円等々で、今の日本の物価とほぼ同じ感じです。
ということは、ロシアの平均給与(5万円程度但しモスクワで10万円程度)から 考えるとかなり高いということになります。
税金の多くが軍に使われ、物価は高く、日本と比べて遅れた社会環境を垣間見ると、やはり日本は過ごしやすい国と今更痛感しました。
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ウラジミール
黄金の門
ウラジミールはモスクワより200km以上離れた街
1108年に城郭都市として建設される。。
この街全体が世界遺産に指定。
黄金の門は、12世紀に造られ、戦争時には凱旋門として使用された。
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国家公務員はそれほど楽でなし
今回のツアーで夫婦とも元国家公務員の方が参加。
仕事は元裁判官?少なくとも裁判所に勤務。
「公務員は生活が安定し、ノルマがないから」という主旨のことを申し上げたら、次のような苦労話を…。
公務員でも国家公務員の中には全国を対象に転勤を命ぜられることがあるそうだ。
この人の場合も3年〜5年おきに転勤をしたとのこと。転勤をして本人、奥さんは我慢もできるが、問題は子供。
それも小学生に入学した後、頻繁に転勤すると「いじめ」に遇うという。
都会から田舎に転勤したとき、その転勤先の男子生徒は全員丸坊主。 そこへ頭髪のある子供が入ってきたため早速いじめの対象になった。
子供に大変な負担をかけることにつらい思いをして定年を待たずに退職されたそうです。
何事も隣の庭はきれいに見えるものですね
スパソ・エフフィミエフ
修道院
スズタリというモスクワから約220km離れたところにある修道院。
スズタリはいわば田舎。
まわりは、野原が広がっており人家がまばらといった感じ。
各正時刻に、いくつかある鐘を一人の人が操作して音楽を流します。
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裁判員制度は、本当に国民のためになるのか
元裁判官殿との会話は、今話題の裁判員制度になりました。
裁判員制度の目的は「裁判の民主化」とか。
従来通りの裁判官のみによる裁判では、一般国民の常識と乖離するため、広く国民の意見を取り入れるためだそうです。
民意を取り入れる方法としては、裁判員制度を設定する以外に裁判官自身に一般的感覚を養うために教育をするという方法もあったが、国はそれを採用しなかった。元裁判官殿は、この教育の方を採るべきとのご意見のようだ。
また、裁判は一般職業と違って聖職であり、公平であるべきと今まで考えられてきたが、これが裁判は一種のサービス業との考えを国は採ろうとしているとのことでした。
これを聞いて私の浅学非才の知識で思い出したことは、これはアメリカからの圧力によるものと解釈しました。
アメリカではご存じのように訴訟が頻繁に行われています。大量の弁護士等の仕事を充足させるためもあり国家の趨勢としてそうなったと理解しています。
ところが弁護士等の仕事を更に増やそうとするとアメリカだけでは足らず、日本に市場を求めたのです。
この要求による市場開放のため、日本では法曹を養成する必要がでてきました。
このため日本は訴訟国家でないのに法科大学院を設置しました。
もし、アメリカの意向に沿った改革がなされると折角日本にあった国民性が喪失され、訴訟社会にならざるを得ません。
今まで日本は、もともと農耕民族であり、お互いに協力・共同で仕事をするという国民性があったわけです。
その証拠に私の会社在職中、会社の成長は個人の成果とするより、グループ(部、課)の成果としました。
それが、15世紀に欧州から渡ってきてアメリカ大陸の先住民を制圧しパイオニアスピリッツの精神のもと国を作ったアメリカの風土が日本に持ち込まれるのです。
今のアメリカ社会は日本の比でないほど荒んだ社会になっているようです。
全て自由競争との名目で、格差はひどく一部の富豪が所得の7割を所有しているとのこと。
また、健康保険制度も十分でないため、通常の中流家庭でもたった一回の盲腸の手術で130万円も支払わされるなどのため、多くの中流が下流、貧困層へと転落していきます。
自由競争も節度がなくなると弱肉強食が進み過ぎ、大変な社会が形成されます。
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聖イサク寺院
1818年から1858年にかけて建設。
サンクストペテルブルクは、いくつかの小さな島から構成されてる。このため地盤は軟弱である。
このため建築にもっとも留意されたのは、地盤の強化。
このため、約2万5千本近くの杭が打たれたという。
このような建築をみてつくづく思うのは当時の権力者、宗教の力の大きさ思いしらされます。
当時の住民はどう思っていたのでしょうか?
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日本の火力発電所は、山間にあります。
ところが、モスクワ市内を回っていると市内に火力発電所があります。
その近くには、修道院があったり、集合住宅があったりします。
日本は、原発も含め人が居住する近くにはないのが普通です。
多分これは安全性、及び土地の価格が市内では高いことに起因していると思います。
ロシアは、それよりも省エネを重視して、発電所と消費地を短距離にするために市内に設置してあるのでしょうか?
エルジタージュ
美術館
今回のツアーのハイライト。
サンクストペテルブルクにある。
世界3大美術館のひとつで、作品数は300万点といわれてる。
内部は金で装飾されたバロック式建築です。
ところで壁などにあるこの金色の細工ものは、菩提樹の木を彫刻し、その上に金箔をつける方法で作成したとのことです。
ロシアの美術館、修道院などでカメラ、ビデオの撮影は許可されていますが、殆どのところカメラが100ルーブル(約400円)ビデオが150ルーブルというお金が取られます。
撮影に金を取るというのも私の旅行経験からして珍しい思いをしました。
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日本人は、やはり日本がいい
今回のツアーの一人で樹脂加工の先生は、定年前13年間もタイで勤務されたと聞きました。
私が勤めた会社でも海外滞在はありますが、精々5〜7年程度で帰国しています。
13年の長き期間、タイで過ごされたことと、タイでは優雅な生活ができると聞いていることもあり、その方に「一層のこと、タイに居住地を移されたら?」と聞きました。
すると、「時々遊びにいくならいいけど、日本の住宅を処分してタイで生活する気にはならない」とのことでした。
私も20代のころ、アメリカで1年足らず生活をしたことがありますが、当時は新婚であり、まだ長男が誕生して間もないこともあり、早く帰国したかったことを思い出します。
今までアメリカ、メキシコ、ロシア、中国、トルコ、シンガポール、タイ、ドイツ、フランス、スペイン、ギリシャ、イタリア、マレーシア、台湾、イギリス、スイス、ハンガリー、ブタペスト、オーストラリア、ニュージーランド、オーストリアを観光又は仕事で行ってきましたが、いつも帰国すると
「あぁ、やはり日本はいい」とその都度実感しています。
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エカテリーナ宮殿
サンクストペテルブルクの郊外にあるロシア帝国の宮殿。
ピュートル大帝の后エカテリーナの名に由来して命名。
内部の写真は舞踏の間といわれる大広場で、ここで1997年公開のソフィー・マルソー主演の「アンナ・カレーニナ」の舞踏場面が撮影されたという。
この宮殿は、日本の大黒屋光太夫がシベリアに漂着し、帰国を申し出るため当時の首都であるペテロブルクにきて謁見したところだそうです。
ところで写真から見て分かるように、観光客の姿が少ない。
これはシーズンオフの4月に行ったおかげである。
定年前の現役の方には、無理でしょうが、定年後の方はシーズンオフに行けば費用は安い、見学は空いていると、いいことだらけ。
是非シーズンオフの旅行をお勧めします。
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海外旅行は健康促進に効果的
ここまで、私が妻と一緒に行ってきたロシア旅行をご覧いただき有り難うございます。
ツアー旅行は、初めて会う方と約1週間前後行動を共にします。
当然、終わり頃には、お互いに気の合う同士が仲良くなることも多々あります。
私も旅行終了後、今でもおつきあいをしている方がいます。
その後会うということは余りありませんが、それでも数人の方には旅行後再会をしたことがあります。
ツアー旅行は、外国の文化、社会を見聞することが目的ですが、このように友人が増えることも大きな成果ではないかと思います。
更に旅行をすることによって日常の生活から得られないものがあります。それは健康への寄与です。
旅行を企画することにより、行くまでの日々の生活に張りがでてくること、また旅行が近づいてくると健康管理に一層気をつけること、そして旅行終了後も余韻を楽しむと同時に仕事に勤しもうという気力が沸いてきます。
このように肉体的には一層健康的になり、精神的にはリフレッシュされます。
旅行することによりそれなりの出費がありますが、効果として旅行の見聞以外に上記のような新しい知人を得ること、健康促進に寄与することがあります。
定年後を楽しく生きるために、旅行は有効な手段と思います。
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