自宅を売った場合の譲渡税(課税がない場合)
ご相談内容
30年前に3000万円(土地1000万円、建物【木造、モルタル造】2000万円)で購入した一戸建て住宅を3500万円(土地3000万円、建物500万円)で売却し、新築予定のマンションを住宅ローン利用せず、3000万円で購入し、移り住むこととなりました。
この場合、売った自宅の収入は、所得税及び住民税にどのように影響するのでしょうか。
また、手続きはどうすればよろしいでしょうか。
なお、売却した年の収入等による所得金額は、600万円とします。
論点の整理
- 課税譲渡所得はいくらになり、課税額はどうなるか
- 居住用不動産を売却した場合の税法上の手続きはどうするのか
論点に対する考え方
- 課税譲渡所得はいくらになり、課税額はどうなるか
譲渡所得を計算する前に、まず、売却する不動産の所有期間を確認する必要があります。
これは期間が長期か短期かにより課税方法が異なるからです。
「所有期間の計算方法」により計算すると、長期になります。(結論としてこの所有期間の長期短期は不問となります)
課税譲渡所得金額は「譲渡所得の計算方法」により計算すると、つぎのようになります。
- 譲渡収入金額
3500万円を全て受領したこととし、3500万円となります。
- 取得費
土地購入代金は1000万円でそのままこの数字が使えますが、建物は減価償却を計算する必要があります。
「建物の減価償却の計算方法」によりつぎのようになります。
減価償却費=建物の購入代金×0.9×耐用年数の1.5倍の償却率×経過年数
=2000万円×0.9×0.034×30=1836万円
- その他の取得費
仲介手数料、登録免許税等で、110万円と想定します。
- 譲渡費用
不動産の仲介手数料としてつぎのようになります。他の費用は無しとします。
仲介手数料=(3500万円×0.3%+6万円)×1.05=1165500円
- 特別控除額
居住用財産の特別控除の「適用条件」が適用できるものとして3000万円が控除できます。
- 課税譲渡所得金額=譲渡収入金額−(取得費+譲渡費用)−特別控除
=3500万円−(((1000万円+(2000万円−1836万円))+110万円)+1165500円)−3000万円
=−8905500円<0円
課税譲渡所得金額はゼロ以下であり、課税(所得税、住民税)はありません。
- 居住用不動産を売却した場合の税法上の手続きはどうするのか
確定申告により申告する必要があります。
不動産の譲渡所得は分離課税になっています。 「譲渡所得の内訳書」に記入し、領収書等必要書類を添付の上、税務署に3月15日までに提出すればすみます。