トップ>不動産取引のポイント>売買契約の解除
不動産売買契約を締結した後、次の要件に該当した場合、当事者は契約を解除することができます。
手付け解除とは、売買契約成立時に買い主が売り主に手付を交付し、買い主は手付を放棄すればいつでも契約を解除でき、
また売り主も、手付の倍額を買い主に償還することで、いつでも契約を解除でき、このように手付相当額の出費を負担するだけで、いつでも売買契約関係から離脱できることをいう。
売買契約において、手付金が交付されたがその目的をはっきり定めなかった場合には、民法では「解約手付」と位置づけています。
但し、宅地建物取引業者が売主の場合は、手付解除について以下の制限があります。
1.手付金の額は、売買代金の2割を超えることはできません。
2.手付は民法に定める解約手付としなければなりません。
引渡し前の滅失とは、売買契約締結後、対象不動産が売主から買主へ引渡される前に、天災地変(火災、地震、台風など)等により無くなってしまうことや、使用できない状態になってしまうことをいいます。
天災地変等により対象不動産が滅失または毀損し、売買契約が解除となったときは、売買契約前の原状に回復することが必要であり、売主は、買主から受領した手付金等の金銭を全額すみやかに返還しなければなりません(違約金は発生しません)。
売主、買主のいずれかに契約違反があったとき、違反した者に対してその相手方は一定期間内に契約の履行を促し、それでも応じない場合には売買契約の解除を通告できるものです。
民法では、契約違反によって売買契約が解除されたときは、違反者にその解除によって生じた損害を賠償請求することができます。
しかしその損害のうち、どの部分が契約違反によるものかまたその金額を決めるのは困難です。
そこで、売買契約書では、あらかじめ損害額を決めてこれを違約金としています。(通常、売買代金の20%)
実損害がたとえこの違約金を上回っても、下回っても、その差額はたがいに請求できないことにしています。
また、違約金を請求するにあたって実損害額の発生等の証明をする必要はありません。
契約違反により、売買契約が解除になったときは、次のとおり清算します。
不動産を購入する際、金融機関等(社内融資を含む)からの住宅ローンを利用する場合が多いのですが、売買契約締結時点では確実に融資が受けられるかどうかわかりません。
万一、融資が受けられない(減額された場合も含まれます)と買主は契約違反(債務不履行)となってしまいますので、買主の責によらずに融資の承認が得られないときは、買主は売買契約を解除することができるとするのが一般的です。
そのため、売買契約書では、買主が売主に解除通告できる期限を売買契約書に記入し、融資が受けられないとき、買主はその期限をもって売買契約を続行するか解除するかを選択します。解除する場合は、その期限までに売主に解除する旨を通告することになります。
この特約が必要となるのは、売買対象不動産の土地の利用権が賃借権の場合です。
この賃借権を第三者に譲るときは土地所有者の承諾が必要となります。 仮に、土地所有者の承諾を得ずに譲渡しますと、土地賃貸借契約は解除され土地所有者から土地の明渡しを請求されてしまうことにもなります。
そこで、売買契約書では、売主が合意した期限までに土地所有者から譲渡の承諾を得られないときは、売主は売買契約を解除することができる特約をつけることができます。
農地法の法律により農地の売買に当たっては、許可が必要な場合があります。
この場合、許可が得られないときは、解約を解除する旨を定めることができます。
売主、買主の合意により、ある一定の要件に該当することになったときには、売買契約を無条件に解除できる特約を付す場合があります。
主なものとして買換特約、第三者からの許可、承諾の特約等があります。
上記の特約により、売買契約が解除となったときは、売買契約前の原状に回復することが必要であり、売主は、買主から受領した手付金等の金銭を全額すみやかに返還しなければなりません(違約金は発生しません)。 なお、特約により解除された証として覚書などの書面を作成するのが一般的です。