平成23年12月2日
ホンダより人型ロボットASIMOの最新が発表されました。
同時にテレビではホンダが開発中の原発事故が発生した場合の事故処理を目的としたロボットも発表されました。
このニュースを聞いて「さすがホンダだ」と思いました。
それは、次の二つの想定からです。
一つはホンダが3月11日の原発事故を機に原発事故処理用ロボットを開発したとするとそのスピードの早さに感心しました。
3月11日から11月上旬まで僅か8ヶ月。
この間に開発を提案し、仕様を検討し、試作し、世間に発表できるレベルにしたならばスゴイ機動力だぁと思ったからです。
他方,実は3月11日以前から開発に着手していたとするともっとスゴイ会社だと思いました。
それは「退職後7年3ヶ月を経て」の中で“原発用災害時処理ロボット”について言及しましたが、
事故が発生してからそのロボットの必要性を言うのは誰でもできることであって、発生前に指摘することは至難の業と言えます。
それは原発事故であのような事故はまさに「想定外」として扱われてきました。
想定外の課題を対象として開発をするということは普通の思考では出てこない発想です。
これは例えばSF小説「日本沈没」のような事態を前提として、
その発生時対応マニュアルの整備、体制の検討など、誰も考えていないと思います。
それは「日本沈没」などSF世界の事であり、今までの経験から「想定外」であるからです。
そんな「想定外」の事を想定して開発をしていたならホンダという会社は凄い発想を持つ会社ということができます。
ところでこの「想定外」という言葉ですが、一頃頻繁に使われました・
まるで「想定外」といえば全て責任が回避されるように使われましたが、
この「想定外」について少し考える必要があります。
「想定外」は通常条件を設定する側がどこまでを想定内としどこから想定外にするかを決めます。
この決めるに当たり、過去の経験則を参考に設定者の都合のよい様に設定するのが普通です。
即ちある条件の発生割合とその条件を満たす場合に必要なコストを勘案します。
例えば津波の高さを10mと設定した場合の発生割合とその場合の対策費用
更に高さを30mと設定した場合の発生割合とその場合の対策費用
ここで30mの場合が過去の事例から仮に300年に一度の割合で発生するとして、
30mに対する対策費用が10兆円もかかるとなれば、まず30mを前提とした対策はしないでしょう。
ところがこのような情報を住民側が得ていたとすると対策を「想定外」として見送る訳にはいかないでしょう。
このように想定の範囲は設定者側の都合により設定されたものであるため、今回のような事故が起きても「想定外」といって責任を回避できるものではありません。
このような人間がもつ思考について「未曾有と想定外」というタイトルで原発事故調査・検証委員会 委員長の畑村洋太郎氏(失敗学の権威)の書籍が講談社(定価756円)からでていますので、もし時間がある方は読まれると参考になるかも知れません。
先日、NHKの「クローズアップ現代」を見ていて「現代型うつ病」というものがあるのを知りました。
「うつ」と言えば、几帳面な人が罹りやすく、罹ると倦怠感、意欲失墜、自己を責めるといった症状があらわれるものです。
これに対して「現在型うつ」は全く異質なもので、仕事の意欲はないがそれ以外の事は正常に行うことができ、自己を責める事がない代わりに上司、同僚など他人の責任のせいにする。また現代型うつに罹るきっかけは上司などからの叱責、それも厳しい叱責でなく一般常識的な叱責が原因でなるそうです。
このような「うつ」に罹る人は過去に叱られたことがないとのことで、会社で叱られるとそれが本人にはかなりのプレッシャーとなるようであり、要は「本人のルール」と「社会のルール」の違いから発病するとのことです。
そしてこのような発症は20代から30代前半の人に多いそうです。
当然、会社にも該当する社員はいるでしょう。その場合本人も大変でしょうが、その上司になられた方も大変なことですね。
現在中高年である人及び私の世代にはそのような現象は殆ど認識されませんでしたが、
これも少子化が起因しているのでしょうか。
私達が住む世界は物質的に豊かになっても精神的には逆に不健康になる要因が増えているのかも知れません。
心身とも幸せになるというのは極めて難しいことのようです。
今年も後ひと月。
悔いのないように業務及び家庭生活を送ってください。
それでは又。