トップ>不動産取引のポイント>市街化調整区域内における制限の調査
都市計画法は、土地利用に関する枠組みを定める法律であるが、同法で、市街化区域、市街化調整区域を決めています。
市街化区域は、市街地をとして整備を図る地域であり、市街地調整区域は当分の間、市街化を抑制すべき地域となっています。
従って、調整区域では、開発行為や建物の建築に当たっては厳しい制限が課せられています。
しかし、まったく建物の建築ができないわけでなく、開発行為には実際にさまざまな特例がありますので、まず、開発行為の概念を理解する必要があります。
開発行為とは、建物等の建築及び特定工作物の建設を目的として、土地の区画形質を変更(いわゆる造成)することをいう。
例えば、山に建物を建てようとすると、まず、山の土地を宅地造成しなければならない。また、既に宅地となっている場合ても、それを小さく再区画する場合は、区画の変更をすることとなる。これらは開発行為に該当する。
具体的案件について、区画の変更及び形質の変更が開発行為に該当するか否かは事前に役所に問い合わせるのが賢明である。
開発行為については、原則として都道府県知事の許可が必要であり、これを開発許可という。
市町村には、都市計画法の規定に加え、独自に許可に要する条件を付加している場合がある。
開発許可の申請に当たっては、開発行為の後の土地に建てる予定の建築物を記載する必要がある。
建築の開始は開発行為による工事完了の告示を待つ必要がある。
市街化調整区域内は、開発行為及び建築物の建築は、基本的に禁止されているが、開発許可を要しない場合及び例外的に許可される場合がある。
市街化調整区域内で開発行為が許可される基準は、都市計画法第34条に規定されている。
この基準は、市街化調整区域内でのみ適用される基準である。
次のア)からケ)までに該当する開発行為は許可される。(この基準は、都市計画法(最終改正平成20年5月23日法律第40号)に基づく)
ア)日常生活のため必要な物品の販売等
開発行為を行なう区域(開発区域)の周辺地域の居住者の日常生活のため必要な物品の販売、加工、修理等の業務を営む店舗、事業場などのための開発行為(例:食料品店,日用雑貨店,理髪店等)(第34条第1号) 。
イ)農林漁業用の建築物
農林漁業の用に供する建築物(開発行為の許可不要のものを除く)。市街化調整区域内で生産される農林水産物の処理・加工のため必要な建築物・第1種特定工作物(第34条第4号)。
ウ)農林業等活性化基盤の建築物
「特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律」の所有権移転等促進計画に定める利用目的に供する建築物
エ)鉱物資源・観光資源の利用など
市街化調整区域内に存する鉱物資源、観光資源などの有効利用上必要なもの(第34条第2号)。
温度・湿度・空気等について特別の条件を必要として、市街化区域内での建築・建設が困難なもの(第34条第3号)。
都道府県が国等と一体となって助成する中小企業の事業の連携、共同化、中小企業の集積の活性化のための建築物・第一種特定工作物(第34条6号)
市街化調整区域内の既存の工場と密接な関連を有する事業用の建築物・第一種特定工作物(第34条第7号)。
危険物の貯蔵または処理に供する建築物・第一種特定工作物で、市街化区域内で建築建設することが不適当なもの(第34条第8号)。
オ)市街化区域内での建築建設が困難不適当なもの
上記ア)からエ)に列記したもの以外で、市街化区域内の建築建設が困難不適当なものとして都市計画法施行令第29条の5に定めるもの。具体的には、道路管理施設、ドライブイン、休憩施設を備えたコンビニ、ガソリンスタンドなど(第34条第9号)。
カ)条例で認められたもの
周辺における市街化を促進する恐れがなく、かつ、市街化区域内では困難・著しく不適当として、条例で区域・用途を限り定められたもの(第34条第12号)。
自然的社会的諸条件から市街化区域と一体的な日常生活圏を構成している地域で、おおむね50以上の建築物(市街化区域内を含む)が連たんしている(建ち並んでいる)地域であって、条例で指定する区域内で、当該条例に即したしたもの(第34条第11号)
。
キ)既存宅地
市街化調整区域が都市計画で定められた際に、自己居住用の住宅、自己業務用の建築物・第一種特定工作物を建築建設する目的で土地を所有していたものまたは借地権を有していた者で、市街化調整区域の決定から6ヵ月以内にその旨を知事に届け出た者が、市街化調整区域の決定から5年以内に行なう開発行為(いわゆる既存宅地の特例)(第34条第13号)。
ク)地区計画などの区域
地区計画または集落地区計画の区域であって、地区整備計画・集落地区整備計画が定められているとき、その計画に即して行なわれる開発行為(第34条第10号)。
ケ)開発審査会の議決を得たもの
周辺における市街化を促進するおそれがなく、かつ市街化区域内で行なうことが困難・著しく不適当であるとして、開発審査会の議決を得たもの(第34条第14号)。ちなみに、これに該当するものとしては、農家の分家住宅(農業者以外の分家の住宅)、市街化調整区域内の企業のための社宅などが考えられる