所有権移転登記などを行なうことが何らかの理由でできない場合に、仮に行なう登記のことを「仮登記」という。
仮登記には1号仮登記と2号仮登記があります。
1号仮登記 すでに権利についての保存や移転、設定、変更や消滅等はあるのに登記に必要な法務省令で定める情報の提供ができない時。
2号仮登記 権利の移転や設定、変更又は消滅に関しての請求権を保全しようとしている時(つまり権利自体はまだ発生していない時)。
例えば、A氏がB氏に融資をした場合に「将来返済がされないときは、B氏所有の土地をA氏に引き渡す」という契約を行なったとする。このとき、将来債務が返済されるかどうかは不確定であるので、所有権移転登記を行なうことは当然できない。そこで、A氏はB氏所有の土地に対して仮登記を付けておく。
具体的には「所有権移転請求権仮登記、原因:売買予約、権利者:A氏」という仮登記を付けておくことで、A氏は確実に権利を保全できることとなる。
1号と2号仮登記の違いの例 例えば不動産における売買予約契約と売買契約での仮登記を例にとると、
売買予約における仮登記(所有権移転請求権仮登記)をする場合、所有権の移転はまだない(予約なので)ので2号仮登記となり、
売買における仮登記(所有権移転仮登記)は所有権移転がすでにあるので1号仮登記となりますが、
所有権移転の時期を売買代金完済時、などと特約を設けて仮登記(条件付所有権移転仮登記)をする場合は 2号仮登記となります。
仮登記の申請
本登記と違い、仮登記は登記義務者(不動産の売買なら売る人)の承諾書があれば登記権利者が単独で申請する事ができます。(不動産登記法第107条第1項)
仮登記はあくまで登記上の順位保全であり、対抗要件にはなりません。(対抗要件具備の為には本登記が必要。)
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