平成22年12月28日
いよいよ今年(平成22年)も終わりですね。
皆さんもいろいろあったのでしょう。いいことも悪いことも。
でも結果として一年を迎えられることは嬉しいことと思います。
こんなことを言うと若い人には「何が嬉しいの?」と聞かれるかも知れません。
若いうちは身体も特に問題なく、無事に過ごして当然といったところがあるからだと思いますが、
私の年齢になると、自分は特に支障なく過ごしていても、知人の多くがかなり深刻な病気に罹っており、
そんなことを知った度に「あぁ大きな病気もなく良かった!」とつい自分の幸せを噛みしめることがあります。
こんな訳で年を無事に越されるということは嬉しいことになります。
最近、「デフレの正体 経済は人口の波で動く」という今評判の本を読みましたので、簡単に紹介します。
本の主旨は、日本はデフレで悩んでいます。
結論としていかに政府が財政・金融対策を行おうが、通常の政策ではデフレはなくならないということです。
それはデフレの原因が「少子高齢化」にあるからです。
まず、人口全体として減少傾向にあります。ということは需要が減少することを意味します。
需要が減少すれば、どうしても販売価格は低下します。即ちデフレです。
更に販売価格の低下は売上の減少につながり企業の利益の減少となって現れます。
利益が減れば社員の給与は減ることはあっても増えることはありません。
この支給される給与の減少は、購買意欲の減少即ち需要の減少となり、これは経済縮小の循環が続くことを意味します。
一方、高齢者は日本の個人金融資産1400兆円の大半を有しているといわれています。
でも高齢者は将来の不安より保有するため一向に支出しません。即ち経済活動の観点から見て「無い」と同じです。
総人口の減少によるデフレに加えて、若者はその人数の減少に併せて給与も減少し、
高齢者は、金はあっても使わない。このように人口の年齢構成からも需要の減少→価格の低下→デフレになるということです。
勿論、本にはこの対応策が書いてありますが、現実から見てかなり実現が困難に思えます。
対策の一つは、高齢者が有する資産を子供が60歳近くになって相続で渡すのでなく、もっと早い時期に贈与し消費に回すこと。
二つ目には、女性の就労をスエーデンのようにもっと盛んにして、若い世代に資産をもたせ、それを消費に向かわせること。
三つ目には、外国人に労働でなく、観光にもっと来て貰うこと。労働では日本国内の消費が上向くまでの効果はなく、
観光であれば僅かな宣伝活動等でかなり大きな消費が期待できるから。
これらが対策として記してありましたが、今日の日本の政治の現状と見ているとこれらが実現することは無理なように思えます。
昔私達が経験した高度成長は丁度、生産に寄与する人口が増えている時であり、そのお陰で達成できた部分が大きいとあります。
ということは、将来出生率が高まり、その子らが20歳を過ぎるということがない限り、デフレからの脱却は困難となります。
いずれにしてもこれから国際経済における日本の地位は更に低下するのでしょうか。
以上、上記書籍の論点をかいつまんで記しましたが、一読する価値はあるような気がします。
今年一年この定期メールを読んで頂き、誠に有り難うございました。
今のところ来年もメールを続ける予定ですので引き続き愛読して頂ければ幸甚です。
なお、1月5日の年賀式は会場の収容人数の関係で私達OBは参加できませんので、少し淋しい思いです。
それでは、良いお年をお迎えください。