平成22年4月29日
作家の塩野七生(しおの ななみ)さんをご存知の方も多いと思います。
「ローマ人の物語」(全14巻)の著者で、古代ローマ600年の栄枯盛衰を記した方です。
600年の歴史の中には、あらゆる人間関係があり、今私達が生きている生き様に参考になるものが多々あります。
「VOICE」という雑誌に彼女の対談がのっており、今の政局に対し、古代ローマの歴史から学べる教訓が載っておりました。
いろいろと示唆を受ける中で、私が特に関心を持った2つの事象を紹介したいと思います。
その一つは、日本の高度成長時代と現在の権力者、即ち、総理大臣(池田勇人と鳩山由紀夫)、日銀総裁(一萬田尚登と白川方明)、自動車会社の社長(本田宗一郎と豊田章男)の顔写真が対比してありました。
その対比されている顔をみて一目瞭然なのは、高度成長時代の面々の顔は精悍な逞しい顔つき、それに対して現在のメンバーの顔は上品だが弱々しい。
私は顔なんか、利口そうだとか、美人だとかその程度の事しか読んでいなかったのですが、人間の顔は時代を反映してつくられるものとは想像もしませんでした。
塩野さんの話によると古代ローマでも第1巻から9巻までのローマが創られ隆盛を極める頃の権力者の顔は迫力あるものであるのに対しそれ以降のローマが衰退していく頃の指導者の顔は草食系の顔だそうです。
二つ目に記しますのは、仕事の意義です。
誰でも仕事は自分の生計を立てるためにするものと思っています。勿論生き甲斐を得るということもありますが。
ところが「職は人間に生活の手段を与えるものだけでなく、自らに対する尊厳、誇りを確立していく手段でもある」との言葉です。
なるほどなぁと思ったのはこの言葉を自分の行動に照らし合わせたときです。
ご存知のように私は退職後、自営業ミドルプラスを営んでいます。
自営業を営んだ理由の一つに自分を表現するのに「無職者」とか「年金生活者」という言葉で表現するのがイヤというのがありました。
勿論、生き甲斐を求めるために始めた訳ですが、よく考えれば、自らの尊厳、誇りを維持しようとする心理があったことを改めて知りました。自分として意識していたわけでなく、この言葉を噛みしめて初めて認識したところがあります。
初めて会った人に「何かしておられるのですか?」と聞かれた時に「イヤ、ブラブラしています」と言う代わりに「イヤ、少しでも役に立てばとチョットした自営をしています」と答える時にささやかな喜びを感ずるのは、私の尊厳、誇りに関与したからでしょう。
この私が経験した心理、心境はいずれ職を離れられる皆さんにも関係するのではないでしょうか。
ご参考になれば…。
それにしても今の首相の鳩山さんは、何を考えてるのか?私には全く理解ができません。
他の閣僚が、実現性の高い案をのべて着地点を模索すると「絶対、県外である」とか「沖縄県民、米国の納得がいく方法…」とことごとく否定します。
普天間基地の問題を5月末にどのように決着させるつもりなのでしょうか?
私の5月末時点の状況は、まず「米国と交渉中で継続」と先延ばしにすることが予想されます。結局期限の約束を破ることです。
つぎに考えられることは、現行案計画維持及びその修正、即ち前政権が予定していたキャンプ・シュワブ沿岸部埋め立てを行う方法です。
このような決着になった場合、一体何のために政権獲得以来、日本国中を混乱させたのか、
このような結論は、鳩山さんが大騒ぎする時点から誰でも想像できた結論でなかったかという思いです。
彼自身が4月に入った新人の公務員(官僚)の前で「国のトップがバカであれば、国民は迷惑だ」と言う意味の挨拶があったそうですが、新人はどういう気持ちでこの挨拶を聞いたのでしょうか
ゴールデンウィークに入ります。
さわやかに過ごし、怪我のない休みを過ごしてください。