平成28年3月30日
「円」は安全資産?
経済情勢が悪化するとよく「ドルを売って、円を買う」といわれています。
この理由として、「円は安全資産だから」といわれます。
ところがよく考えると日本国は借金が約1057兆円(2015年6月末時点)もあり、
GDP比で233%となり、あのギリシャをはるかに超える莫大な借金があるのです。
そんなに借金があっても安全資産とは?不思議ですね。
私も今一的確にその理由を認識していませんでしたが、先般、分かりやすい記事を見つけましたので紹介します。
理由1 借金の中身
借金のうち、9割以上が国債です。国債とは国の借金です。
ところがその国債の買手の9割以上が国内の投資家。
これが外国と違うところで外国の場合は自国の投資家は5〜6割だそうです。
日本の場合、投資家といってもそれは年金運用団体とか、ゆうちょ銀行、かんぽ生命、民間銀行、生保、損保などです。
ゆうちょ銀行などのお金は国民から預かったお金です。
言い換えると、国民から国が借りていることになります。家庭に例えると親が子供から借りていると同じです。
親といっても子供に借りた金は返さなければなりませんが、返せないときは債権放棄を求めたり、
デノミ(貨幣単価を変えること、例えば100円を新1円にすること)などで実質減額する方法があります。
最悪の場合、国民が政府の借金を肩代わりするだけで政府と国民を一つの日本とみればなんら国際的には影響がないこととなります。
理由2 国が保有する財産の大きさ
国の財産は約2000兆円といわれています。上記の借金額を上回っています。
中身は、土地や建物に加え、外貨準備高、株式、米国債などです。
いざとなればこれらを処分し、国債の返済に充てれば借金全額を返すことが可能です。
理由3 経済規模と政治的安定
中国に抜かれたといえどもGDPは世界三位で、規模は絶対的に大きいです。
そして、テロ、内乱、紛争などの地政学リスクは他の国より圧倒的に少ないです。
これらの理由により如何に借金が多くても円が安全資産といわれる所以だそうです。
ガンの特効薬が開発された事をご存じだろうか。
今までの治療の主役といえば、抗ガン剤、手術、放射線治療でした。
それ以外に丸山ワクチンなどの免疫療法があったが、臨床現場の支持がなく広く普及することができなかったようです。
この度開発された新薬は、その免疫療法に属する薬で「オプジーボ」といいます。
ガン細胞は、その表面から「PD−L1」という分子を出し、これがT細胞(免疫細胞)の表面にある分子「PD−1」と結合するそうです。
その結果、T細胞が異物であるガン細胞を攻撃する機能を失います。
ところがこの「オプジーボ」は、この結合を邪魔するようにつくられたタンパク質で、患者に投与するとT細胞が攻撃能力を取り戻すそうです。
従って、従来の抗ガン剤のような副作用はないそうです。抗ガン剤は、ガン細胞を殺すと同時に正常細胞をも破壊するために、倦怠感、嘔吐、脱毛など
大変な副作用をもたらします。
このようなうれしい話は、「退職後11年10か月が経過しました。」で紹介したC型肝炎の特効薬「ハーボニ―」と似たところがあります。
「オプジーボ」も「ハーボニ―」もそれぞれ直接 対象物(ガン細胞又はウイルス)を殺すのではないところに共通点があります。
但し、「オプジーボ」は現在のところ、皮膚ガンと肺ガンに対し効用が確認されて保険適用になっている段階ですが、
手法が分かれば他のガンに効く薬の開発はさほど遠くないと思います。
なお、T細胞の「PD−1」を発見したのはわが日本人である京大の先生です。
ところで、シャープの鴻海への傘下に入る件ですが、気にかかりますね。
産業革新機構の支援を断り、鴻海が7000万円まで資金援助し、雇用は保証し、現役員の退任は求めないという甘い言葉を含む条件でした。
ところが、支援先を鴻海に決めた後になってシャープはこともあろうか3000万円の偶発債務を表に出しました。
案の定、鴻海は支援条件の大幅減額をシャープに求めてきました。
台湾といえども相手はもとは中国人。約束してもその後変更を求めてくるのは常套手段。
偶発債務を材料に産業革新機構の支援額を下回る金額に減額要求をしているようです。
遡って考えれば5年程前、シャープを含む家電メーカは一様に苦境の中にありました。
パナソニックなどはうまく苦境を逃れましたが、
経営判断のミスにより、シャープは苦境からの脱出に失敗しました。そして今回の鴻海決定の愚策。
これからどのように展開するか分かりませんが、今の時点で考えられるベストシナリオは、産業革新機構が再度支援に乗り出すことでしょう。
但し、業務の分割及び役員の解雇は当然避けることはできませんが。
今年は元気になった妻と一緒に桜が鑑賞できそうです。