生命保険の選び方
ご相談内容
マイホーム取得に際し、生命保険の加入を検討したいのですが、選ぶポイントは何でしょうか
論点の整理
- 加入する生命保険の種類の決め方
- 保険機関の種類について
- 加入する生命保険会社の決め方
- 加入時期について(参考)
論点に対する考え方
- 加入する生命保険の種類の決め方
- 死亡後か生存中のどちらに保険をかけるか
- まず、第一に考えるのは、保険の対象を契約者が死亡した後の家族等のためにかけるのか、契約者の生存中の安定のためにかけるのかである。
死亡保険なら、基本的に定期保険、終身保険がある。
生存中の保険なら、個人年金保険、貯蓄保険があり、医療保障には、医療保険、ガン保険がある。
なお、死亡及び生存の両方を対象とした生死混合保険があり、これには、養老保険、定期保険特約付き養老保険がある。
- 貯蓄性を兼ねるかどうか
- 保障に重点を置いた保険として、定期保険、終身保険、定期保険特約付き終身保険、アカウント保険(利率変動型自由設計保険、利率変動型積立終身保険)がある。
貯蓄性を兼ねた保険として、養老保険、生存給付金付き定期保険、定期保険付き養老保険がある。
- 保険機関の種類について
大きく分けて、かんぽ生命の保険、共済保険、生命保険会社がある。
- かんぽ生命
- 日本郵政グループのかんぽ生命保険は、普通の生命保険会社と同じような商品がそろっている。
つぎのような特徴があるが、詳細はかんぽ生命のホームページ参照。
- 無審査で加入できる
- 基本契約の保険金額に1000万円(条件付きで1300万円)の加入限度額がある
- 年金額が90万円の加入限度額がある。
- 特約保険金額に加入限度額がある(災害特約及び介護特約で合わせて1000万円など)。
- 払い込み保険料総額に加入限度額がある(財形積立貯蓄保険及び財形住宅貯蓄保険で合わせて550万円)。
- 共済保険
- 共済保険には次のようなものがある。
ここでは、共済の一つJA共済についてつぎのような特徴があるが、詳細はJA共済のホームページ参照。
- JA共済は、農林水産省の管轄の共済事業であり、生命保険会社のように各種の商品がそろっている。
- 共済を利用するには、正組合員、准組合員になる必要がある。但し、一事業年度における組合員の利用量の五分の一を超えない範囲で組合員以外の利用もできる。
- 生命保険会社
- 生命保険会社は、従来主流であった日本生命、第一生命等の伝統的な生命保険以外に、アフラック、ソニー生命等の外資系、異業種参入の会社があったが、近年注目を浴びているのがネット生命である。
これには、ライフネット生命、SBIアクサ生命、損保ジャパンDIY生命がある。
これらのタイプによりかなり特徴が異なる。詳細はそれぞれの会社のホームページによるが、各生命保険の選択については下記「加入する生命保険会社の決め方」を参照。
- 保険料シミュレーション比較
- 条件
現在35歳、男性、既婚。
60歳までを主たる保険対象期間することを目的に、できるだけその主旨に合った保険を選択して比較。
各保険の具体的保障内容はシミュレーションで同一にできず、各保険によって異なる。
項 目 |
単位 |
日本郵政 |
共済 |
生命保険 |
かんぽ |
JA共済 |
ライフネット生命 |
朝日生命 |
保険の種類又は商品名 |
|
普通終身保険(定額型)
新ながいきくん |
医療共済べすとけあ120 |
死亡保険 |
保険王終身保険 |
月額保険料 |
円 |
22700 |
13148 |
8066 |
18548 |
保険料払込期間 |
年 |
30 |
45(80歳まで) |
30(保険期間と同じ) |
10 |
死亡保険金額(60歳まで) |
万円 |
1000 |
1000 |
1000 |
1000 |
死亡保険金額(60歳後) |
万円 |
1000 |
100 |
1000(65歳まで) |
|
事故、災害死亡保険金額(60歳まで) |
万円 |
2000 |
3000 |
1000 |
500 |
事故、災害死亡保険金額(60歳後) |
万円 |
2000 |
1600 |
1000(65歳まで) |
|
疾病、傷害入院保険金額(ガン以外) |
万円 |
|
1日当たり1 |
1 |
1日当たり0.5 |
疾病、傷害入院保険金額(ガン) |
万円 |
|
1日当たり2 |
1 |
1日当たり0.5 |
入院支払い限度日数 |
日 |
|
120 |
180 |
120 |
保険期間 |
年 |
終身 |
終身 |
30 |
10(試算で他に変更不可) |
解約返戻金 |
|
(未確認) |
あり |
なし |
(未確認 |
配当 |
|
あり |
(未確認) |
なし |
あり |
- ライフネット生命が一番保険料が安い。死亡保険は65歳までの定期期間だが、医療保険は終身保険。
- 朝日生命のHPによるシミュレーションは、保険期間10年の固定であり、他の期間のシミュレーションはできない。
- かんぽは終身保険のため、1000万円の保険金の必ず受け取ることができる。
- 共済は、終身保険でも60歳以降は100万円の保険金額となる。
- チョット考えよう
-
「ライフネット生命」は、保険料が安く魅力的だが、掛け捨てのため保険期間終了後は1円も戻ってこない。
これに対し「かんぽ」は、1000万円の保険金が必ずもらえる。いわば1000万円の貯金をしたと同じ効果がある。
ここで考えてみよう。
もし「かんぽ」と「ライフネット生命」の保険料の差額を貯蓄したとすると
(22700-8066)円×30年×12月=5,268,240円 となる。
これは、無利子の場合であり、毎月差額の1,4634円を預金して同じ1000万円になるには複利計算で利率が4.56%以上なければならない。
今後30年間の利率が4.56%以上にならないならば、かんぽを利用した方が得になる。 |
- 加入する生命保険会社の決め方
- 保険料の安い会社を選ぶ
- 保険料は、純保険料と付加保険料より構成されている。
純保険料とは、将来の保険金支払いの財源となる部分であり、これは納めた保険料が契約者に戻ってくる部分である。
但し、これは加入者全体の視点でみた場合であり、個々の加入者によっては、納めた保険料より少ない場合もある。
これに対し付加保険料とは、その保険会社を維持するために必要な部分である。即ち、経費である。
付加保険料を開示しているライフネット生命によれば、純保険料の金額は会社間によって差はないとある。
これは、純保険料を決める要因が予定死亡率、予定利率によって決まることを考えれば当然のことである。
予定死亡率及び予定利率は同じ日本を対象にしている限り、死亡率、利率に相違がないからである。
問題は、この付加保険料が会社によって大きく異なることである。
即ち、保険会社の人件費、建物の維持管理費などは会社によって違い、かつこの差がビックリするほど大きい。
2009年3月14日号の雑誌「週間ダイヤモンド」に保険会社にアンケートした「定期保険の付加保険料ランキング」が掲載されている。
これによると最も付加保険料が安いのは、SBIアクサ生命で781円、これに対し最も高いのは住友生命、朝日生命の4,741円であり、なんと6倍、4,000円もの差がある。
この結果とよく似た結果が得られるのに「保険市場」のシミュレーションがある。
このシミュレーションを利用して2009年3月時点の定期保険の保険料比較を行ってみた。
これらの結果から分かることは概観として、ネット保険は安く、従来からの歴史のある保険は高い。これは販売チャンネルに生保レディを使用し、立派な建物を有するなど高コスト体質であるためである。
- 商品説明の分かりやすいものを選ぶ
- 保険というのは、一般の家電等の商品と異なり、元来その仕様(家電の性能に相当する部分)が目に見えなくて分かりにくい。
本来、保険会社は、契約者に分かりやすく説明すべきであるが、逆に分かりにくくしている傾向がある。
それは、契約者の万一の救済というよりも会社の利益を優先するためである。
契約者が理解するのを難しくして契約に持ち込み、実際に保険料支払いの状態になったときには、約款に書いてある支払いできない条件を明示し、支払いを拒否をする。
このことは、不正支払い拒否が監督官庁に指摘されていることが証明している。
一般消費者として、各保険会社の約款を比較検討するということは、実質的に不可能である。
そこで、対応策として考えられるのは、「商品説明の分かりやすさの比較」である。
各会社の資料を取り寄せ、「保険金が支払われる条件、支払われない条件」が明示してあるものを選ぶ。
これは、分かりやすいというのは、他社と比較されても自信がある証拠と見なすことができる。
なお、資料をみるときの注意として、特に小さな文字で記載してある内容である。
小さな文字というのは、一般的に補足的位置づけを表すが、知られたくない事項だが、法令上記載しなければならないので記載する場合に使用されることがある。
また、非常に分かりやすい選別方法として、各社のホームページのシミュレーションである。
シミュレーションで比較されて不利な場合はシミュレーションができない又は、シミュレーションはできても一部だけであり、不利な商品はできないようになっている。
- 加入時期について(参考)
前記にように純保険料が決まる要因の一つに予定利率がある。
予定利率は、契約時点の市中金利によって左右される。
即ち、市中金利が高いときに契約した貯蓄性の高い保険は、契約者にとって得になる場合がある。
逆に金利の低いときに契約をすると、固定金利のため、市中金利が上がっても低い金利で計算された高い保険料を支払わなくてはならない。
市中金利が低い場合に保険を締結する必要がある場合、掛け捨て保険をかけておくのも一つの方法である。