3人兄弟姉妹ですが、父は既に他界しており、母が亡くなって遺産として残ったマンション(相続価額1億円で賃貸者があり、毎月30万円の家賃がある)と自宅(同5千万円)を姉が勝手に自分の名義に移転登記してしましました。既に登記済みであり訴訟すると弁護士費用もかかるため、訴訟せず遺留分だけもらおうと思いますが…。
基本的に遺産相続を子供が引き継ぐ方法は相続権のある全員がその分割について協議し分割割合、方法について合意することです。これに対し姉は独自に相続財産を自己名義に移転登記していますから、自分の相続権にもとづく財産の取得は主張できます。この場合問題点になることは次のとおりです。
1.既に移転登記してしまったものを取り消すことができるか
2.この場合、時効の問題はないのか
3.協議して割合を決める場合、マンションと自宅の処分方法はどうすればよいか
相続割合は民法900条(相続人が子供だけの場合は等分)で規定されていますが、相続はA.遺言に基づく分割、B.相続人の協議による分割、C.家裁の調停又は審判による分割があります。
従って姉の移転登記に当たって母親が同意をしておれば遺言による相続と見なされます。この場合は、遺留分しか主張できません。母親が遺言をしていなければ、B又はCの方法による分割となります。遺言がなく全財産を姉が自分の財産として登記した場合は詐欺(96条)に当たります。詐欺はその行為を取り消すことができます。
更に姉の行為は他人の権利、利益を侵害していますから不法行為にあたり損害賠償請求をすることができます。(709条)
相続人はいつでも遺産の分割を請求できます。(907条1項)もし、この場合姉が分割の協議に同意しない場合は調停又は審判を申し立てて分割することとなります。(同条2項)
分割方法は協議によりますが、一つの方法として次の案が考えられます。マンションは賃貸借されており、家賃収入があるため、共同名義にしてその家賃収入をそれぞれの相続人が相続割合に応じて分割することが考えられます。また母が住んでいた自宅は売却し、その代価を分割すること又は、姉の所有にして分割した場合との差額を姉がお金で他の相続人に支払う方法も考えられます。いずれにしてもこれは当事者が協議して決めることとなります。